ダークシティ(1998年・アメリカ) バレあり感想※noteに加筆修正版を投稿しました。
noteに超加筆修正版を投稿しました!
異色のSF、というキーワードがとても似合う映画です。
『ダークシティ』(Dark City)
■ストーリー
バスルームで目覚めた男は自らの事を思い出せない。
男は自分自身が誰なのか追い求め、ジョン・マードックという名である事を知る。
12時を回ると、この街の全ての人々は眠りにつく。
異形の人々が街に現れ、彼らに協力する精神科医のシュレーバーによって人々の記憶は作り替えられる。
そして、街そのものも少しずつ変えられていく。
ジョンは眠りにつく事は無く、その様を目の当たりにした。
朝が来ることの無いこの街に何が起きているのか、外に出る方法はあるのか、そして自分自身が何者なのかを追い求め、ジョンは街を奔走する。
■感想
主人公ジョンが自分探しに奔走する話かと思いきや、途中から街自体の様子がおかしかったり妙なやつらに付きまとわれたりして、最終的に神になる映画でした。
面白要素てんこ盛りですね。
まず、宇宙人の存在、劇中では異邦人(ストレンジャー)と表現されます。
次に、彼ら異邦人が用いるチューンという特殊能力の存在。
物理法則をある程度無視して、現実改変に近い事が出来るというものです。
これを何故か使えるようになってしまった人間が、主人公のジョンです。
そして、舞台となるずっと夜が続く街と、記憶がおかしい街の人々。
映画の中盤辺りまではかなりこれらの要素が絡み合って進展し、記憶の無いジョン共々謎を追う感覚を味わえました。
しかも絶妙に不気味な雰囲気が続き、終盤を除いてサスペンスとしての側面が非常に強い作風になっていて非常に惹きつけられます。
街で何が起きているのか、何故人々の記憶は曖昧なのか、街の外に出る事は出来るのか、これらの謎についてはしっかり回答が用意されているんですが、
そもそもなぜジョンがチューンを使えるのかについては明確な理由付けは劇中ではありませんでした。
そこだけもやっとしますが、他の部分は綺麗に纏まっていたように思います。
街の設定としては、絶滅しかけている異邦人が生き残る術を得る為、宙域に作り出した巨大な箱庭の街へ人間を連れ込み、連日彼らの記憶や街の形状をちょっとずつ弄りながら心というものを学んでいる、というものでした。
故にそこに連れ込まれた人々は連日色々と実験をされていて、記憶も曖昧になっています。
この設定だけでも結構面白いと思います。
映画の序盤でシュレーバーがネズミの箱庭実験を行っていたり、ヒントになるシーンもかなり多いのでだいたい終盤前くらいにはこの設定に気づきますが、それを踏まえてもジョンが壁を破壊した先に宇宙空間が広がっているシーンは衝撃的です。
キーファ・サザーランド演じる精神科医のシュレーバーが非常に良い味出しているキャラですね。
非情に不安定で、いかにも小者なマッドサイエンティストっぽく描かれているんですけど、最終的にシュレーバーがジョンに自らの記憶を与える事で、ジョンが完全覚醒するキッカケを与えました。
自分の記憶を与える事で、シュレーバー自身が長い人生の中で得た異邦人の知識を一瞬でジョンは会得し、目覚めた直後から異邦人達を圧倒します。
こういう展開は個人的に好きですし、シュレーバーというキャラクターそのものがミスリード要因として用いられていた部分もあって、ジョン大暴走というのは意外な展開でした。
ただやっぱり最後のこのジョン覚醒による超能力世紀末バトルが始まるのは慣れが必要ですね。
それまでの文字通りダークでシリアスなサスペンスっぽい流れから急激に作風が切り替わるので、良くも悪くもビックリします。
しかもその能力バトルも頭の辺りから念波のような物を出し合いながらにらみ合って唸りあうという、BGMとSE無しで観たら相当シュールな感じになっています。
いや僕は好きなんですけど。変に観えても仕方ないところはあるなって。
■まとめ
凄い超能力と化学力を持った宇宙人が人間を使って箱庭実験をしていたら、何故か自分達と同じ能力を会得した人間が現れ全てを台無しにされる、という映画です。
そう書くと異邦人達がかなりかわいそうな気がしないでも無いですが、とにかく個性的な映画でした。
終盤の突然の能力バトルはともかく(僕は本当に好きなんですけど)、
序盤からずっと張り巡らされる謎と伏線、そして核心へ迫るまでの過程の描き方も丁寧で上手いですし、かなり面白いですよ。
ではまた。