ストレンジャー・シングス 未知の世界3(2019年/アメリカ) バレあり感想 最高に楽しい雰囲気で始まるのに実はとても切ない物語だった。
ホント凄いドラマだよ……。
『ストレンジャー・シングス 未知の世界3』
(STRANGER THINGS 3)
シーズン1の感想記事はこっち↓↓↓
シーズン2はこっち↓↓↓
以下、シーズン3全体のネタバレを含む感想記事です。
■ストーリー
1985年。
少しだけ大人になったマイク達の前に再びマインドフレイヤーが現れる。
■感想
マイク達が成長しすぎててビックリするシーズン3。
男の子組は全員変声期を迎えてるし身長もかなり高くなっていて、しかもマイクはエルと隙あらばキスしてイチャイチャし放題。
義理の娘がマイクといちゃつく事に苛立ちを隠せないジム・ホッパー警察署長も一方でウィルの母親であるジョイスとの関係に何か進展を齎そうとしていたり。
かつて典型的なジョックだったスティーブはもはや完全に近所の面白いお兄ちゃん枠で、代わりに彼の立ち位置をビリーが引き継いでいるような感じでしょうか。
シーズン2までの物語を経て、このシーズン3ではキャラクターの成長や人間関係の変化などが顕著に描かれていたように思います。
裏世界やそれにかかわる組織なんかの問題点が一通り解決したかのような、まるで後日談を観ているかのような調子で始まるシーズン3の第1話は最高です。とにかく笑えるシーンが沢山ありました。
笑えるシーン、色んなパターンの笑いの要素を組み込んだシーンの多さは恐らくこのシーズン3がダントツだと思います。本当に楽しい。
コメディというよりも、若者のバカバカしさみたいな部分であったり、噛み合わない会話で魅せる掛け合いの妙であったり、シチュエーションに対する何かしらのズレとシュールさであったり、そういう方向の面白さが詰まっていたように思います。
楽しい感情を想起させるシーンが多いおかげか、マインドフレイヤーやソ連の殺し屋との戦いといったシチュエーションでは一気に緊迫感のあるじりじりした空気を楽しめるのかと思います。
決して明るいだけのドラマじゃ無く、毒をそれなりに混ぜているからこそ醸し出せる雰囲気と言いますか。
例えば前半ではマイク達の仲がギクシャクしていたり、ジョイスとホッパーの間も少し気まずい空気が漂いますし、ジョナサンとナンシーは仕事を首になります。
それぞれ日常の中で少なくない問題を抱えている状態ですが、マインドフレイヤーが戻ってきた事、ソ連がホーキンスの町で何か企んでいる事を知り、皆は団結してこれらの問題に立ち向かい、解決していきます。
こうして仲間の絆の強さをかなり分かりやすく描いた上で、シーズン3の最後は離別で終わるんですから凄いドラマですよ。
ホッパーは裏世界の扉を閉じる為に身を捨ててしまいましたし、事件の後バイヤース一家はホーキンスの町を出ることになります。
義理の父であるホッパーを失ったエルはバイアース家と共に町を出る事に。
それはつまりマイクとエル、ジョナサンとナンシー、そして何よりウィルと今までずっと仲間だった友人達との別れを意味します。
シーズン3でようやく、そして初めてちゃんと一人の普通の少年としてウィルは描かれます。
個人的にシーズン3で一番好きなのがこのウィルの描かれ方だったりします。
シーズン1では言わずもがな、裏世界に皆が関わるきっかけたるキャラであり、捜索対象であったウィルのキャラクターが掘り下げられる機会はあまりにも少なかったです。
そしてシーズン2でウィルは自分が普通じゃない事を本当に胸が痛くなるほど悩んでるんですよね。結局マインドフレイヤーの"ホスト"として肉体を乗っ取られて普通じゃなくなりますし。
仲間のうち唯一、ウィルだけどういうキャラなのかがあまり見えてこなくて、どちらかというとイベント要員みたいに捉えていました。
そのウィルがようやく、殆ど普通の少年として過ごす事ができるはずのこのシーズン3。
また昔みたいにマイク、ルーカス、そしてダスティンと共にずっと永遠に遊んでいたいという彼の気持ちとは裏腹に、仲間達にはもう恋人がいて、昔のようにずっと一緒に遊ぶ事は出来ないという現実を突きつけるこの展開。
子供から大人へと次第に移り変わる、当たり前のように見える成長の流れにウィルは対応できません。何故ならウィルは普通じゃ無かったからです。
こんなキツイ話はないって。
それでも、マインドフレイヤーとの戦いで仲間達との絆を再確認して、戦いが終わりようやく今度こそ前に進めるのかと思いきや、
今度は町を去る事になり仲間達と別れることになってしまうウィル。
いやホント、マジで、なんでこんな……ううぅぅぅぅうぅううぅぅぅぅううぅぅううぅ……
エルが超能力を喪失していたり、ソ連がデモゴルゴンを飼育していたり、次のシーズンが楽しみになる要素はたくさん残して終わるシーズン3ですが、そんなことしなくてもウィルショックだけで十分満腹になれましたよ……。
■〆
個人評価:★★★★★
シーズン2の少し暗い雰囲気から一転、全体的に明るいドラマになりました。
もちろん裏世界やそれに関係する生物や組織との戦い等これまでのシーズンで不気味さを担っていた要素(このドラマのメインディッシュみたいな部分です)は、今作でも健在です。
そしてまた仲間達の絆が深まったところで、最後は仲間達が離れ離れになるという締め方をするのが、なんというか、意地悪すぎてすげえなって。
特にウィルを中心に見てみると本当に切ないです、シーズン3。
楽しい雰囲気の中に織り交ぜた毒が強すぎます。
話としてはマインドフレイヤーとの決着が描かれますが、これまでのシーズンで描かれたものを全て統括したような物語になっていて非常に面白かったです。
マジでシーズン3の第1話ホント最高すぎる。
最終話のエンドロール前後で少しだけ次回に繋がるような要素をチラ見せしていましたが、僕個人としてはもうシーズン3で完結と言われても全く不服は無いレベルの完成度だと感じました。
ではまた。