ターミネーター:ニュー・フェイト(2019年/アメリカ) バレあり感想と少し考察 運命は変わらなくてもターミネーターは変わる。それを描いたところに何かヒントがある気がする。
T2の正当な続編である事をこれでもかという程アピールしていた本作ですが、
これまでの続編の中で最もリブート感の強い作りになっていたと思います。T-800に齎された変化を除いて。
『ターミネーター:ニュー・フェイト』
(TERMINATOR:DARK FATE)
以下、ネタバレを含む感想記事です。
ネタバレ全開です。
■ストーリー
スカイネットによる人類への攻撃が回避された代わりに、リージョンによる人類の攻撃が開始された未来。
新たなターミネーター"REV-9"は、リージョンによって過去の世界へ送り込まれ、普通の女の子ダニーちゃんを付け狙う。
■感想
スカイネットの誕生は阻止できたものの、結局第二のスカイネットのような存在、リージョンが現れ、人類と機械軍との戦いの未来は訪れてしまいます。
未来は変えられても機械との戦争という運命は避けられない事が発覚するのが本作。
そういう事で、未来からやってきた強化兵士グレースが、未来の反乱軍リーダーとなる人物ダニエラ(ダニー)を守るのが主なストーリーです。
リージョンの誕生を阻止するわけでは無いんですよね。
初代ターミネーターのテイストに近いです。ダニーの役割はジョンに近いものですけど。
『ターミネーター』『T2』 に続く正当な続編と散々予告でも謳われていました。
僕は『T3』や『サラコナー クロニクルズ』を明確にパラレル作品扱いにする程度の意味合いだと思っていたんですが、それだけでは済みませんでしたね。
人類と敵対する機械軍がスカイネットですら無くなるのは予想外でした。
スカイネットと戦争する未来世界を描いた事で、T2以降分岐した各シリーズの共通の未来の世界観としてギリギリ機能していた『T4』は、パラレル世界の未来を描いた作品という意味不明な立ち位置に。
そもそもリブート目的で分岐した世界を描いた『ジェニシス』は、今やT2以降の作品の中で唯一従来通りの視点で観られる良作ポジションへ。
今作、シュワちゃんがまたもターミネーターを演じるわけですが、これまでのターミネーターとは明らかに質が違うキャラクターを演じていました。
スカイネットは様々な時代にターミネーターを送っていたらしく、T2での戦いの後に、ジョンはターミネーターに殺されてしまいます。この出来事によってサラはターミネーターを狩る戦士として生きていく事に。さらっと悲しいぞ。
一方スカイネットが存在する未来が消失した事で、ジョンを殺したT-800は"解放"され人間世界に溶け込み生きていました。
それが本作でアーノルド・シュワルツェネッガー演じるカール(T-800)です。
カールに焦点を当てて考えてみると、もしかしたら機械との戦争を回避できる可能性をこのキャラで示しているんじゃないかと思えるんですよ。
初代とT2では、あくまで人の皮を被った無機質なマシーンとして描かれたターミネーターという存在。
ただプログラムに従うだけの機械であるT-800とジョンの絆を描いた点にT2の面白さって詰まっていると思っています。だからこそ親指を立てて溶鉱炉の中へと沈むT-800の姿は感動を誘いますし。
ところが今作で登場するカールは人の感情を理解し、感情を獲得しているとしか思えません。
チップをいじったわけでも無く、勝手に変化してるんですよ。
単純に人間世界に溶け込むどころか、妻も(養子ですが)子もいて、バンで移動販売をする普通のおじさんとなって登場するT-800。
カールが戦いの準備を進める中で、サングラスをかけようとして思い留まるシーンは印象的でした。既に殺人マシーンでは無くなったことを事を示す良シーン。
T2の正当な続編を謳う今作で、カールという存在が人の感情に近いものを獲得した姿を描いた事には絶対に意味があると思います。
というか個人的にはT2の正当な続編としてわざわざ本作を撮った理由がここ以外に見当たらないとまで思っています。
ジョンがダニーに、カイルがグレースに、スカイネットがリージョンに置き換えたような世界で、ターミネーターが圧倒的に変化している点は面白いですし注目するべきポイントな気がするんです。
スカイネットとの戦いという未来を変えても、機械と戦争する運命は変わりませんでした。
しかし未来が変わり自分に命令を下す存在が消滅したことで、殺人マシーンだったターミネーターが人を理解した姿を、ダニーとサラは目の当たりにしたわけです。
となればリージョン打倒の可能性、もっと言えば機械と戦争する運命を変える可能性を二人はここに見出すような展開が今後あるような気がします。
ただ、そもそもリージョンはどういう流れで人類に反旗を翻したんでしょうね。
人類を攻撃した理由は劇中で名言されてなかった気がします。スカイネットの場合は、人類を脅威と見なしたから戦争が始まったわけですけど。
ここの理由がもしスカイネットと同じような流れだとすれば、機械が人間と理解し合う実例を見たダニーたちが、カールをヒントに何か打開策を……みたいな流れがあるんじゃないかと僕は予想しています。
そもそも続編ありきで考えてる時点でダメなんですけどね。特にターミネーターシリーズは。
仮にこの後も新作が作られるとして、ニューフェイトの続編では無い可能性も十分考えられるのが悲しいところ。
ただリージョンそのものに対するアクションは今作では何も起きていないので、きっと続編があると信じてます……。
ストーリーは初代の焼き直しみたいなものなので目新しさは無いんですが、新型ターミネーターであるREV-9はシリーズ通してもかなり好きな部類です。
REV-9はフレームに液体金属というスタイルのターミネーター。
(今やパラレルの)T3に登場したT-Xと同様の構成なんですが、フレームと液体金属でそれぞれ別行動が可能というおもしろギミックを搭載していました。
T-Xのように外装扱いで液体金属を纏っているだけでは無いんです。
このギミックのおかげで戦闘シーンがだいぶ面白い事になっています。
硬いのと柔らかいので適材適所しつつうまく立ち回りながら、ダニー達を追い詰めていく様は中々に見栄えがありました。
驚きと不気味さはT-1000のシンプル液体金属オンリーがやっぱりベストだとは思いますが、トリッキーな戦い方をするREV-9は上手く差別化出来ていると思います。
そんなREV-9に追われるダニー。
仲間は強化兵士のグレース、ターミネーターのカール、そしてサラ。味方の攻撃力が妙に高いです。
撃ち合い殴り合いでド派手に人やモノが破壊されるターミネーターシリーズですが、これまでで最も味方側の攻撃力が高い事もあってか、今作も中々に破壊アクションが堪能できました。
相変わらずデカい車でカーチェイスしたがるよね。
そんな味方も強い状況でも尚倒しきれないREV-9。
最終的にはEMP(電磁パルス)で回路を焼いてしまおう!という事になります。
困ったときはEMP!みたいなの、ここ数年のトレンド的なところありますよね。
■〆
個人評価:★★★☆☆
ジョンとT-800の物語だったT2の続編なのにジョンが冒頭であっさり死んでしまったり、敵があらたな機械軍になっていたり、シリーズのファンからすれば困惑する要素満載ではあります。
ただ一方でターミネーター(T-800)そのものが人間を理解した姿を描いている点はこれまでのシリーズでは考えられない変化であり、「未来は変えられても運命は変わらない」で終わってない点は中々好きです。
アクションシーンは流石の安定感です。
T2ほどの目新しさはありませんが、ギミックで勝負するREV-9は個性的で面白いです。
過去のターミネーターシリーズは、こちらの配信サービスでも視聴する事ができます。
ではまた。
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