趣味と向き合う日々

映画やドラマなどの映像作品を中心に気ままに書いています。

IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。(2019年/アメリカ) バレあり感想 恐怖より他の感情が勝りがちな不思議な後編。そして、おどけ続ける道を選んだ少年リッチー・トージアの話。

 

一見するとビルが主人公っぽいですが、彼は実はそこまで主人公らしい事してないですよね。

してないですよね?

 

 

『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』

(IT Chapter Two)

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 画像引用元:映画『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』オフィシャルサイト

予告:https://youtu.be/4hE_mJ8oPX8

 

前作の感想記事はコチラ↓

dsnblog.hatenablog.com

 

 

以下、ネタバレを含む感想記事です。

 

 

 

ストーリー

 27年ぶりに地元デリーに集合したルーザーズ

失った記憶を求め町を徘徊。ペニーワイズと再会。

 

感想

 

27年周期で現れてはデリーの町ではしゃぐペニーワイズ。

自分を克服しようと試みたルーザーズを心待ちに気合いが入りまくるペニーワイズと、久しぶりの地元で同郷の友人達と再会し心が若返るルーザーズの面々の熱量の差が序盤は地味に面白いです。ペニーワイズ置いてけぼり感が強い。

 ストーリーが進むにつれて次第に、デリーに残っていたマイクを除くルーザーズの面々は、ペニーワイズを倒す為に行うチュードの儀式なるものを通じて、不自然に失っていた子供時代の記憶を取り戻していきます。

 

原作では記憶喪失の要素は時系列を絡めたトリックの一つとして出てくるみたいなのですが、映画版では記憶の回収シーンは大人が忘れていた物を取り戻していくノスタルジー全開な演出になっていました。

僕は今年になってようやく前作を視聴したのですが、それでも前作の内容ってわりとおぼろげに覚えている程度になっていました。ほぼ忘れてるような状態。

だからなのか、今作でルーザーズの少年時代が改めて描かれるたびに、前作の出来事を重ねるように思い出し、その思い出がルーザーズと共有されるような感覚を味わえました。

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予告シーンより。かっこいい大人の背中。しかしこの後死ぬほどビビり散らす大人の背中。

 

 

”それ”を倒す為のチュードの儀式に必要な思い出の品を、ルーザーズの面々がデリーの町で探すパートがとても好きです。

ひとりひとりが、それぞれ過去の記憶とそこで体験した恐怖、そして大人になり改めて恐怖と対面する姿が描かれるんですが、

大人になったルーザーズはペニーワイズの仕掛ける恐怖体験に子供時代と変わらずビビりまくるわけですよ。そりゃドッキリ系ホラーなので大人子供関係なく目の当たりにしたらびっくりするシーンばかりですけどね。

それがなんだか堪らないというか、めちゃくちゃ怖いシーンを見ているはずなのに「こいつら変わんねえな」的な、ほっこりする懐かしさも感じられて不思議な魅力が詰まっていました。

 

そんな余裕が生まれるのも、ぶっちゃけ観ている側としてはペニーワイズのやり口に慣れてしまったからだと思います。

ほぼ2パターンで頑張ってますよねあのピエロ。異形になるか奇妙な状況に陥れるか。

特に今作では子供だましそのものみたいな脅かし方しかやっていない気がします。

当事者のルーザーズ的には、各々が恐れる存在が誇張されて迫ってくる状況なのでそりゃ恐ろしいんでしょうけどね。

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予告シーンより。登場の仕方まで雑になってきたペニーワイズ。

 

 

 

回想で「大人になっても僕達友達でいられるのかな」みたいなセリフが出てきます。

これってルーザーズの仲間達に共通した根本的な恐怖(というか不安だと思いますが)でもある気がします。

 大人になって再開したばかりのルーザーズは、ペニーワイズの軽いジャブ的なドッキリにもビビり散らして離散しかけています。

そこにはお互いを信じて恐怖に立ち向かう姿勢は微塵も感じられません。

 

ま儀式をやろうと言い出したのはデリーに残り続けたマイクですが、彼は実は儀式によって迎える結末を隠蔽しており、それが原因で儀式ではペニーワイズを倒す事が出来ませんでした。

マイクが嘘をついてしまったのも、大人になったルーザーズを信じ切れていなかったからだと思うんですよね。

 

しかし儀式が失敗した後に、ルーザーズペニーワイズ自身に自分がしょうもないただのクソピエロだと皆で思い込ませ、ペニーワイズを恫喝し萎ませ心臓を抉り取り握りつぶして勝利を得ます。すごく嫌な殺され方。

ひとりひとりでは無く、皆で一丸となってペニーワイズに罵詈雑言を浴びせる様には確かな絆を感じます。絆パワーで倒したわけです。

 

儀式を通して失われた記憶を取り戻してルーザーズの絆が再構築されていき、恐怖に立ち向かった結果ペニーワイズを殺す事ができたのかもしれません。これは僕が勝手にそう解釈しているだけです。

 そして更に、この経験を通してルーザーズは「大人になっても親友でいられるのか」という恐怖にも向き合い、克服したんだと思うんですよ。

 

だからこそ、この映画の最後、ショーケースに写る少年時代の彼らの中に、死んでしまったスタンとエディの姿もあったのかなって、僕はそんな風に捉えています。

 

 

 

 

リッチーについて

 

あまりにもリッチーが魅力的すぎたので、それについてただ書きますね。

 

僕は前作を観た時、ベンのあまりにもピュアで切ない姿に完全に胸を打たれてしまい、ベン以外のキャラクターの動向にあまり注目できていませんでした。切ない恋を応援したくなるのは人の性。

しかし今作を観て改めて考えてみると、本当に注目するべきはベンでは無くリッチーだったのかもしれません。

個人的にはリッチーこそがこの映画の中核を担っているキャラクターだと今では思っています。

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道化を演じ続け、ピエロが怖いと語った少年時代のリッチー。

それはピエロ恐怖症というよりは自分自身がピエロで居続ける状態に対する恐怖を指していると思います。

前作でリッチーだけペニーワイズから嫌がらせを受けるシーンが描かれていなかったんですよね。

今作を観れば何となく察せるのですが、ピエロが怖いという言葉の裏側には、おどけざるを得なかった理由、人には絶対に話せない事情が隠されていたみたいです。

劇中で明言こそされていませんが、多分エディに対する想いは友情以上のもので、それこそがリッチーの恐怖の本質だったんじゃないかと思います。

もしそうだとすれば、時代背景や少年期特有の心情を踏まえたら同性愛なんて知られた日にはお終いみたいなところあると思います。

この映画の冒頭で不良達によってゲイが理由でリンチされるカップルがわざわざ描かれるのも拍車をかけている気がします。

そういった対外的な怖さを抜きに考えても、内面的な恐ろしさ、気持ちを受け入れられなかったらという不安みたいなものは間違いなくリッチーの中に渦巻いていたはずです。

 

 

 

そういう事情でおどけ続けて27年、コメディアンとして生きているリッチーは、マイクに招集されデリーの町へ戻ります。

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そしてペニーワイズの恐怖と再び対面することになるのですが、真っ先に逃げ帰ろうとするのがリッチーでした。

しかし次第に恐怖に立ち向かう様になり、ヘンリーという物理的恐怖枠も撃退し、エディの死を乗り越えペニーワイズに打ち勝ちます。

主人公じゃん。

 

ペニーワイズを倒した後、リッチー的にはハッピーエンドでは無い点もポイント高いです。

エディは死んでしまっていますし、その想いはきっと誰にも打ち明ける事も無く今後も生きていくであろうことがなんとなく予想できます。

この切なさを知ってしまうと、もうリッチーを単なるコメディリリーフとして見る事は到底できなくなってしまいます。

なんて魅力的なキャラなんだ。

 

 

 

個人評価:★★★☆☆

 

前作の感想記事で「きっとベンは大人になっても報われないんだろうな」って書いてるんですが、全然そんなこと無くて笑いました。

しっかりベバリーと恋仲になってましたね。ベンがあんなにセクシーな男になっているなんて、原作も90年版も観てないから知らなかったんです。

そして僕の関心はリッチーへと移り変わっていました。

 

前後編で少年時代と大人になってからのふたつの時間で描かれた作品。

併せて観たらそれなりに長い時間を取られますが、わりとそれだけの価値はある映画だと思います。

ジュブナイルホラーとされていますが、個人的な印象ではホラー3ジュブナイル7くらいになっています。そりゃ怖そうなシーンはめっちゃ出てくるんですけど、パターンが同じで慣れてくるので、シーンそのものでは怖がることって無くなってしまうんですよね。  

ホラーというか、ドッキリ系の手法を多用してくる幻覚使いのピエロを倒すみたいな映画なので、わりとホラー苦手な人でも見られるような気がします。

 

 

前作、前編に当たる『”イット” それが見えたら、終わり。』は、こちらの配信サービスで視聴する事が出来ます。

 

 

 

ではまた。

ダークタワー (字幕版)

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シャイニング (字幕版)