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ブラック・クランズマン(2018年/アメリカ) ネタバレあり感想 人種差別を取り扱いつつも、物語の魅力という本命部分は面白さに溢れていた凄い映画。

体調不良で更新できなかった分をちょっと稼ぎに行く感じで連続投稿。

 

名作らしい名作って感じがするし本当に面白い。

 

『ブラック・クランズマン』

(BLACKkKLANSMAN)

ブラック・クランズマン (字幕版)

ブラック・クランズマン (字幕版)

 予告:https://youtu.be/L6OqzMw8OTo

 以下、ネタバレを含む感想記事です。

 

 

ストーリー

黒人男性が白人のフリしてクークラックスクランに潜入捜査を仕掛ける。

 

感想

白人と黒人の対立、蔓延る人種差別意識、そういったアメリカという国の歩んだ歴史や現地感覚が無い他国の人間にとって、この映画は知識として持つ情報と問題の再整理・再解釈という観方に落ち着くかもしれません。

真に理解するには現実に体感する以外の方法が無い物事って世の中には絶対あると思っていて、この映画が描いた問題は正にその一つだと思います。国の歴史が絡むとどうしてもね。

 それらを一旦切り離して、史実に基づくこの映画が描く物語は面白いかどうか、という基本的な部分で言えば間違いなく面白いです。

白人至上主義団体クークラックスクラン(以後KKKに、黒人警官が潜入捜査を試みるというシチュエーションだけでもう面白そうじゃないですか。

実際相当面白かったです。バカ面白い。

 

 

 

黒人男性であるロンが警官になる事自体が前代未聞の時代、その上新米の彼がKKKに潜入捜査を試みるという大胆すぎる展開。

実際にKKKと対面するのはフィリップという白人男性なのですが、彼もまたユダヤ人であり、KKKの標的だったりします。

ロンという人物を二人の男が声と姿でそれぞれ演じ、潜入捜査を進める中で様々な難所にぶち当たるも、それをギリギリで躱していくという、潜入モノの醍醐味をしっかり楽しめる映画だと思います。

 

取り扱ってるテーマこそ人種問題ですが、物語自体はそこまで重い訳ではありません。

むしろ要所要所でちょっとキツめな、差別を取り扱ってるからこそ飛び出すギリギリの線を行く笑いどころとかそれなりに作られていて、エンタメ色がわりと濃い方の映画だと思いました。

黒人の話し方と白人の話し方は全く違う、君は白人だと電話越しにロンに対して断言するKKKのお偉いさんのシーンは笑いました。

ブラック・クランズマン

ブラック・クランズマン

 

 

 

KKKの面々が加入した理由を語るシーンがあります。それは黒人の起こした犯罪の被害者であったり、根本的に純血主義者であったりするわけです。

一方の黒人側の、声をあげている人々(ムーブメントの中核の人々と言えばいいんでしょうか)は、白人と黒人の間の溝そのものの抜本的な改善、平等を訴え声をあげています。それはKKKという組織に対する抵抗では無く白人社会そのものに対するものです。

構造的に両者とも黒人と白人という全体的な枠組みで捉えている点がとても強調されていたと思います。

それは人種差別問題だけでなく多くの対立で見られる現象で、いわゆるレッテル張りに等しいです。

つまり、お互いに微妙に照準がずれている感じというか、カテゴライズを大きくし過ぎたまま相手取って戦おうとしているようなイメージを持ちました。

 

ロンやフィリップ達が行った一連の潜入捜査の結果、コロラドスプリングにあるKKK支部から危険思想を持つ団員の逮捕に成功しました。

しかしKKKそのものは当然存続し続けますし、結末の燃える十字架のシーンや、エンドロールで挿入される現在(2017年)の主義者同士(と思われる)の衝突とそこから起きてしまった事件の資料映像が指し示すように、未だに根深く残る問題の一つである事を強く意識させてくれます。

お互いにお互いを白人・黒人という大きすぎる枠組みでカテゴライズしてぶつかり合っている限り、一方の勢力の壊滅による他方の勝利という状況は起こり得ません。

この映画が描いたものは、きっと人種差別問題というより、相互理解の拒絶と正当性の主張が過熱した末に齎される問題そのものなんじゃないかって気がしました。

キング牧師―人種の平等と人間愛を求めて (岩波ジュニア新書)
 

 

 

個人評価:★★★★☆

人種差別の根本的な問題点をそれとなく描きつつ、基本的にはシチュエーション型の潜入捜査モノとして楽しめるとても面白い映画でした。

物語が、というか映画として面白いけど、考えさせられる部分がしっかり存在していて、テーマも分かりやすく主軸に配置している、いかにもな名作って感じがします。

僕はかなり好きな映画でした。

 

この映画は以下の配信サービスで視聴できます。

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ではまた。

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ブラック・クランズマン (吹替版)

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