スターシップ・トゥルーパーズ レッドプラネット(2017年/日本・アメリカ) ネタバレあり感想 遂に独特の安っぽさを改善させ始めたシリーズ第5作。
いつの間に制作されていたの。
(Starship Troopers:Traitor of Mars)
シリーズ第四作目の感想記事もあります↓↓↓
以下、ネタバレを含む感想記事です。
■ストーリー
連邦軍総司令官の陰謀で火星がバグまみれ。
■感想
『スターシップ・トゥルーパーズ インベイジョン』に続き、今作もフルCGアニメでありつつも映画世界では一応地続きの正当続編っぽい感じでした。
英雄にもかかわらず、何故か火星に左遷させられ新兵教育にあてがわれたリコ。
しかし火星には実はバグが侵入しており、しかも連邦政府はそれを黙認。
実は連邦からの独立の機運が高まる火星を、バグ掃討の大義名分のもとQ爆弾なる惑星丸ごとひとつ破壊可能な戦略兵器で、キレイさっぱり消し飛ばしてしまおう!という陰謀が企てられていた、というのが本作の大まかな内容です。
連邦の無謀な人海戦術で人命の軽量化に専念していたこれまでのシリーズの流れに、更に火星を吹き飛ばすという大胆な計画が加わる事で、連邦がどこまでも人命を尊ばない事が強調される結果に。
ちなみに首謀者は26歳の若さで連邦軍総司令官の座に就いた女の子エイミーちゃん。
まだ若いのにだいぶ歪んでて魅力的でした。
Q爆弾でバグの住む惑星吹き飛ばしたら戦争終わるんじゃない?
さて、前作でテレパシー能力を体得したカールが火星を守る為(かどうかは最後の描写でちょっと分からなくなりました)に、カルメンに旧友ジョニー・リコを探せと念を送ります。
が、そもそもジョニーは火星に配属されていましたし、カルメンがジョニー達と合流するのは映画のクライマックスの脱出劇辺りなので、カールの意図は今作でも良く分からない事になっていた気がします。
カールが直接ジョニーにテレパシー送ればいいのにって思う点が多々あるんですが、今作を見る限りどうやらジョニーと直接コミュニケーションを取るのはこっぱずかしいっぽい。かわいい。
死んだはずのジョニーの恋人がなぜか火星に出現し、中盤のジョニーを引導する展開があるんですが、どうやらカールの創り出した幻影?のようなもので中身はカールだったっぽい?感じでした。
いやそれだと元親友の恋人に扮して夜の話とかしてたカールはちょっとまたそれはそれでなんともうーん。
第一作目ではプロパガンダ映画のパロディという形で盛大に皮肉として機能していたニュース速報が、今作では総司令官ちゃん26歳女性の支持率の上下に上手く絡めて演出されていて面白いです。
後半の展開では、これまでの作品で描かれてきたプロパガンダや、それに必要だったヒーロー像を、ジョニー達はぐれ小隊が逆手にとって、総司令官ちゃんの画策していた火星まるごと爆破計画を阻止したりと、シリーズモノならではのお約束的要素を上手く展開に組み込んでいました。
どうしても何かしらを皮肉りたいのか、今作では火星の新兵達がやたらと無能な若者達として抽象的に描かれています。
自分の戦闘シーンが世界にライブ配信されてはしゃぐ補佐官の馬場君とか、結果を何一つ残していないのにやたらと自信家な奴がいたりだとか、そんなレベルですが。
彼らの成長を描いた物語である表面とは、明らかに意図が異なる裏の演出がたくさん込められていた印象です。
戦闘シーンはとにかく混乱が混乱を呼ぶシリーズ恒例のハチャメチャ感が楽しめます。
技術的な進歩も当然あるかと思いますが、過去最高レベルにCGの作り込みがアクションSF全開です。ここはホントみどころ。
そもそも安っぽいSFアクション映画として作られていたシリーズの最新作が高品質フルCGアニメ映画になってるって状態が中々に面白いです。
ただパワードスーツ、マローダーは出してほしかったです。
もはやノーマルスーツ自体が超小型最適化されたパワードスーツなので不要なのかもしれませんが、それでも終盤でバグの大群を一掃するマローダーとか、観たかったです。
■〆
個人評価:★★★☆☆
スターシップ・トゥルーパーズは基本的にどの作品も大味ながら何故か面白い不思議な魅力の詰まった映画シリーズだと個人的には思っています。『スターシップ・トゥルーパーズ2』だけはちょっと例外ですけど。
今作はそれまでのシリーズの持ち味も継承しつつ、歴戦の兵士ジョニー・リコと彼の率いる新兵達を対比しつつ成長を描き、政治的な陰謀もストーリーに絡め、バンバン戦っていく感じになっていて、個人的に過去のシリーズ中で一番SFアクション映画らしい雰囲気に仕上がっているんじゃないかと思いました。
この映画は以下の配信サービスで視聴できます。
ではまた。