アナイアレイション -全滅領域-(2918年/アメリカ) ネタバレあり感想 サイケ極まってて凄く好き。
全力で理解しようとしたのに出来なかった映画ひさびさに観た。
(ANNIHILATION)
以下、ネタバレを含む感想記事です。
■ストーリー
宇宙から落ちてきた何かが影響を及ぼして、徐々に世界にサイケデリックな空間が広がっていきそうだったので、調査隊が調べに向かって奇妙な体験をする。
■感想
宇宙的恐怖(コズミックホラー)要素込みで奇妙な空間の探索と理解を超えた何かとの邂逅を描いた映画。
ナタリー・ポートマン演じる主役の生物学者レナ含め、登場する主要キャラの殆どが、最終的にやってきたそれの正体がなんだったのか、その目的は何なのかを解明する事はありません。
調査チームのリーダーであるヴェントレスは何かを理解したか悟ったかの描写はありますが、直後に宇宙のパワーの前に消滅しちゃいますし。
物語が進行するごとにどんどん理解が追い付かなくなっていくのが大きな特徴だと思いました。
後半の訳分からなさとか『2001年宇宙の旅』に匹敵すると思いますよ。
視覚的な感動と衝撃はかなりのもので、調査チームが入り込んだシマ―と呼称される空間内のビジュアルはとにかく凄かったです。
廃墟と化した建築物と異星を思わせるオブジェクト類、存在し得ない形に変異した植物や動物、人型の木や異形と化した人間の死体など、完全に常軌を逸しているとしか思えない世界はかなり魅力的に感じました。
宇宙から飛来した何かしらのせいで再構築された世界なんじゃないかと個人的には思います。
なぜ再構築されているのかはもちろん不明ですが、人が植物になったり、種の壁を超えた融合や未知の生命体へと変異していたり、シマ―の中ではそれまで存在していた地球の生命体のスタンダードな形が維持できなくなっているらしい事は、劇中で執拗に描写されるので理解できます。
劇中では、レナの彼氏が実は複製された何かだったり、細胞分裂に関しての説明描写、さらにはジマー内では全ての事象が反射しているという事実が発覚します。
これによって最初は僕はあの世界はパラレルワールド的なものが同位置同次元上に顕現してしまったみたいな事かと思っていましたが、多分それら一連の、二重性を匂わす描写が全てミスリードな気がしています。
クライマックスシーンで明らかに超宇宙的存在としか思えない何かがレナの姿や動きを模倣するシーンがあります。
その身体は当初は異次元極まったペプシマンみたいな状態になっているんですが、徐々に衣服込みでレナの姿を完コピしていきます。
シマ―に入ってから三日間ほどの記憶が無いという設定と、ラストのレナの瞳の人間ではない事を匂わす描写からして、そもそも僕らが観ていた調査チームのメンバーが、記憶が無い事が発覚したシーンの時点で既に別人になっていたのかもしれません。
冒頭で、彼女達の体感時間と経過時間が大幅にずれている事が指摘されていたりしますし、そういう入れ替わりが既に起きていたんじゃないかと個人的には思っています。
そして、それは複製(クローン)人間のようで実際には既に再構築の過程に組み込まれた人という種のモデルケースとしてあそこにいただけだった、みたいな風に個人的には考えています。
調査メンバーの一人であるジョシ―が植物人間へと急速に変異していったり、ヴェントレスが宇宙の光と化して昇天したのも、多分そういうことなんじゃないかなって。
ただ、いくら考えても多分この映画は明瞭な答えにはたどり着かないと思いますし、そのモヤモヤと宇宙ヤバいという感覚を楽しむのが良い観方なんだろうなって思います。
主要メンバーが全て女性というのもなんだか新鮮で面白い点だと思いました。
日本の漫画とかアニメじゃよくあることなのに不思議。
■〆
個人評価:★★★★☆
難解すぎる内容や展開と、視覚的な魅力にあふれた映画でした。
個人的にはかなり好きです。
地球でありながら地球を思わせないような生物や植物の姿と退廃的なビジュアルが物凄くマッチしていてずっと眺めていられます。
それなりにショッキングな描写も多いですが、奇妙な世界が観てーなーって気分のときにはかなりオススメ出来ると思いました。
この映画はネットフリックスで配信されています。アマゾンプライムビデオでもレンタルされてるのなんでかと思ってたら、どうやら内容的に他国での劇場公開はやめとこ的な流れになった背景があるみたいですね。ネトフリオリジナル作品では無いみたいです。
ではまた。