帝一の國(2017年/日本) ネタバレあり感想 権力争い要素と青春要素とBL要素とコメディ要素をお手軽に楽しめてしまう映画。
ジャンプスクエアで連載されていた同名漫画が原作の映画。
『帝一の國』
予告:
以下、ネタバレを含む感想記事です。
■ストーリー
総理大臣になるという野望をかなえるため、主人公赤場帝一はエリートの集う高校の生徒会長を目指す。
■感想
全国からエリートが集う海帝高校の生徒会長になる事は、総理大臣への一番の近道になる、という背景の元繰り広げられる生徒会長選挙をメインに描きつつ、野望に燃える主人公帝一くんの知略と挫折、男の戦いを描いた映画。
漫画原作の映画らしく、コミカルさを重視した登場人物達といかにも面白そうな設定や世界観、そして香らせる以上のBL要素。
そんな感じで、色物映画っぽさが物凄く漂っていて視聴前のハードルは相当下げていたのですが、結果的にはかなり楽しめる映画でした。
帝一君たちの入学から学園祭、先輩達の生徒会長選挙、そして帝一君たちの選挙まで、一年以上の彼らの学生生活と政治闘争、更には過去回想に帝一たちの家族の物語など、相当数のエピソードをこなしながらハイスピードに展開していくので楽しい映画です。
ただ大半の展開は後半で描かれる森園と氷室という、帝一の一個上の先輩達の選挙戦のためのものになっています。
総理大臣になって自分の国を作りたいという野望を抱える帝一。
その裏には実は自由に好きにピアノを弾きたいという夢があり、その為に海帝高校の生徒会長になりたい、その為に帝一の一個上の代で生徒会長になる派閥に所属する必要がある、という遠回りすぎる階層構造を一本の映画で描いた弊害か、終盤での帝一とライバル兼小物の東郷との殴り合いは選挙戦には直接関与しないという謎展開もありました。
帝一が内面的に成長する為の決定的なイベントではあるんですが、そこに至るまで森園と氷室の生徒会長選挙の重要性を印象付け続けていたので、帝一が選挙で票を入れる事無く帝一の所属する派閥の森園さんが選挙に勝つというのは、個人的には中々にモヤりました。
東郷が帝一の投票を邪魔しようがしなかろうが関係なく結果的には森園さんが勝つわけで、東郷がただのピエロで終わってしまうという斜め上の面白さ。
小物系ライバルキャラに救いは無いのか。
それから一年後、生徒会長選に挑む帝一と弾と東郷。
最終的に弾が生徒会長になるという意外性全開な展開が待っていますが、実はこれもまた帝一の策略のひとつだったという終わり方は、かなり予想外で面白かったです。
各キャラクターがそのそもかなりキャラ立ちしているのもあって、彼らの関係性や各人の思惑や性格など一瞬で把握できるのはこの手の映画の良い所だと思います。
主人公は知略でガンガン攻めますし、イケメンは死ぬほど性格が良いし(9割イケメンしか出てきませんが)、嫌なやつは何処までも姑息なクズですし、眼鏡のキャラクターは眼鏡をしっかりクイッてやってくれます。
あと氷室ローランドっていう、名前で出オチやってるキャラが魅力的な悪役で最高に好き。
イケメンたちが半裸で太鼓を全力で叩き狂うシーンとか、帝一の相棒である光明くんが男の娘だったりとか、やたらとスキンシップが多かったりとか、ボーイズラブ要素をふんだんに感じる映画ですが、全体的にライトな作風ですし違和感を覚えるような事は無いんじゃないかと思います。
健全さと清涼感で匂わす程度のBLだからストレートな男子でも安心。
■〆
個人評価:★★★☆☆
イケメンだらけのエリート男子校のトップ争いを、政治要素と青春要素を交えながら描いたライトに楽しめる映画だと思います。
コメディタッチが強めでスピード感のある物語が展開されていくので、冷めるようなタイミングも無く最後まで楽しめました。
この映画は20/05/24現在、下記の配信サービスで視聴できます。
ではまた。