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NEXT -ネクスト-(2007年/アメリカ) ネタバレあり感想 たった2分先しか見れない未来予知でも爆アド。

 

フィリップKディックの短編『ゴールデンマン』を原作にしつつ、予知能力以外の全ての要素を原作から変更してしまった意欲マシマシな一作。

 

『NEXT -ネクスト-』

(NEXT)

NEXT -ネクスト-  (字幕版)

NEXT -ネクスト- (字幕版)

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 以下、ネタバレを含む感想記事です。

 

 

 ストーリー

2分先の出来事を予知可能な男がFBIと悪の組織っぽい連中にマークされつつ恋路を進める。

 感想

 面白いけど消化不良感も凄まじく、魅せる部分はしっかり魅せて映画に惹きこんでくれる一方で粗も目立ちまくる、そんななんとも感想に困る映画。 

 

主人公クリスの2分先を知る能力の見せ方描き方、そしてその活用方法などはとてもよく考えられている印象です。

例えばギャンブルでチートを疑われないように絶妙に手抜きしつつ稼いだり、リアルタイムで変化する未来のタイムラインをそれぞれ観測して人探ししたり逆に隠れたり、大事故や銃撃を回避したり予測パンチかましたりと、小さい使い方から大胆な使い方まで未来視の力を様々なシチュエーションで描いていたのはとても良かったと思います。

ただ一方、ストーリーの肝となる「米国内に持ち込まれた核弾頭の爆発阻止」という部分に関しては、その筋と作中で描かれる出来事とを絡め切れていないように思いました。

 

 

 

 

2分先の出来事がわかる男の存在を確信したFBI捜査官フェリスは、その男クリスに協力を求める為に接触を図ろうとするも、クリスは能力を利用され権力に拘束される事を嫌がり逃走。

そして何故か唯一2分どころか相当先の未来の出来事として観測できていた意中の女性リズとの出会いを達成、上手い事2分先の自分にアプローチの方法を試行させまくり、なんとかリズと共に長距離ドライブデートできるルートを発見し、クリスはFBIの追跡から逃れつつリズとの恋路を堪能するというのが中盤辺りまでの内容です。

正直その辺りの展開はむしろ、クリス本人が言うように2分先かつ自身に直接起きる出来事しか予知できないのにどうやって核爆発を阻止したらいいんだよっていうのがあったので、全然納得して観ていました。

女を落とす為に予知能力を使うくたびれたマジシャンって絵面も独特の面白さがあって好きです。

 

それに、核爆発を阻止したいために予知能力者に協力してほしいFBIと、過去のトラウマも込みでそういう事態に関与したくないクリスの逃走劇という、一見すると筋を大幅に遅延させるような展開も、個人的には結構面白く感じました。

スーパーパワーを持った人間が無条件に国に率先して貢献しまくる作品を観すぎたというのもあるのかもしれませんが、とにかくその謎すぎる逃走劇の構図に謎の新鮮さを覚えてしまって、むしろ最後まで協力を拒み続けてリズと添い遂げ狂う展開すら期待していました。

結局リズが犯行グループに拘束され爆殺される未来を見たクリスは、リズを救うためにFBIに協力するという流れになりますが、あくまでクリス的にはリズの為に頑張るっていう感じになっていたので、そこは一貫して描かれていた点なのかなと思います。

 

後半の、FBIの実働部隊に囲まれながら未来予知で戦闘を支援するクリスという構図もかなりかっこよくて好きです。

それ以前にもただのしがない中年のマジシャンと思えないような格闘戦を披露していたり、未来予知がこと戦闘において如何に強力なパワーソースとなるのかを拘り強く描いていて楽しめました。

この路線をメインにしても良かったんじゃないかってレベル。

 

 

 

 

一方で、核弾頭を持ち込んだ犯行グループがクリスの能力を知っていた理由、後半にて拉致されたリズを救うためにクリスはFBIに協力するがいつの間にかリズを拉致した犯人が核持ち込んだ犯行グループと同一であるとFBIが確信していた理由、なによりリズを介する出来事だけは何故か超ロングストロークで予知可能な理由など、明確な描写無くなんとなく流されていった要素が結構多くて、その辺りが少し引っかかりました。

なんとなく話は進んでるけどよく考えたら諸々が繋がる描写が無いぞっていう事が多い映画かも知れないです。

 

そしてこの映画、クリスがリズの攻略に成功した後から、拘束されたリズをFBIと協力して無事に救い出し犯行グループも仕留めたあと結局核爆発が起きてしまう、という中盤からクライマックスにかけた一連の出来事が、全リズを介してクリスが観測した超ロングストロークな予知であり、直後にベッドで起床したクリスがすぐさま捜査官フェリスに協力する旨を伝え、現実世界で核爆発の阻止に乗り出すところで終わります。

 

この際その夢オチフォロワー的な展開はいいとして、いや良く無くて個人的には唖然とした部分でもありますがとにかく、その予知の中で更にこまかく2分後の出来事を各時点で予知していたという点は一体どう理解したらいいのか分かりません。

無限を感じる。

インセプション』でやってたみたいな、夢の中の夢の世界みたいな事の亜種なのかもしれませんが、作中で何度も発言のあった「未来の出来事は現実での出来事次第でリアルタイムに変化する」という部分と絶妙に関連せず、その予知の内の一つの中で更に予知している自分を予知しているんだとしたら、もうそれらのタイムラインと分岐を全て把握しているクリスが化け物だという他ない気がします。

インセプション (字幕版)

インセプション (字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

 

 

 

 

個人評価:★★★☆☆

たった2分後という超直近の未来予知能力を題材にした映画ですが、2分後とは言え未来の出来事が分かるというアドバンテージのデカさを存分に描いていました。

その題材そのものの要素や描写はとても楽しめる一方、ストーリーはあんまりまとまりが良くない気がしました。

核爆発の阻止というビッグイベントをとってつけて無理やり派手さを造り出しているような印象を受けます。

ストーリーはやんわりと出来事を把握する程度に、未来予知という要素そのものを楽しむための映画って印象でした。

 

現在、この作品は以下の配信サービスで視聴できます。

僕は今回アマプラで観ました。

ではまた。

Amazonプライム・ビデオ

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  • 発売日: 2020/07/08
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