ねらわれた学園(1981年/日本) ネタバレあり感想 序盤中盤終盤でそれぞれ別の映画過ぎて笑う。
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監督は大林宣彦。
元祖アイドル映画と聞いていたのでわりと軽めなPVみたいな感じなのかと思っていたんですが、現代のライトノベルやアニメ作品に結構な影響を与えてそうな作風でした。
『ねらわれた学園』
以下、ネタバレを含む感想記事です。
■ストーリー
風紀が乱れていると言われつつも楽しく学校生活を送っていた生徒達だが、謎の転校生高見沢みちるが生徒会長になってから生徒会による学校の支配が始まり、更にはその裏に英光塾という謎の組織の影までチラつく上に超能力者に金星人まで現れて新宿がパンクする。
■感想
少し不思議な能力を持つ少女三田村由香と全力少年関耕児くんを中心に描かれる青春学園コメディっぽく始まり、やがて謎の転校生高見沢みちるの登場と共に生徒会の支配する恐怖の学園モノにぬるっと作風がシフトし、最後にはSF超能力バトル映画として締めくくられるという、全く名状しがたい一作。
序盤の学園ラブコメ風世界観の段階ですでにカオスが蔓延っていて、、街の人々や学校の人々がどこかしら狂っていました。
コメディ世界の住人そのものとしか思えないようなキャラクターが何人も登場しますし、その演出にしてもコントっぽい要素が散見されます。
これ、「80年代初頭の若者向け日本映画のトレンドはこんな感じだったのかー」程度に僕は受け止めてたんですが、冷静に考えてそんなはずないんですよね、そんなはずない。近い年代の邦画は観てますけど、こんな作風の映画には出会いませんでしたし。
この映画特有の、あるいは当時の大林監督特有の世界観の描き出し方なのかもしれないです。
中盤、高見沢みちる(長谷川真砂美)の登場と共に、超能力要素がより強調されはじめ、ヒロインである三田村由香(薬師丸ひろ子)もまたその能力を自覚し始めます。
高見沢みちるのマインドコントロールと、謎の組織"英光塾"に惹きこまれた同級生たちが次々と廃人のようになり、更に高見沢率いる生徒会に歯向かう者や反対意見を持つものは生徒教師関係なく超能力でマインドクラッシュされてしまうんですが、急激にサイキックスリラーな事態が進みすぎてて、この辺りでちょっと追いつけなくなってきました。
絶対的なパワーを持った生徒会という設定は、未だに学園モノ界隈で人気というか鉄板設定みたいな感じですよね。
この実写版や原作小説『ねらわれた学園』以前にも、こういった謎に権力を持った生徒会の登場する学園モノはあったと思いますが、この映画に関してはもうその要素が中心かつ悪の組織として中盤の物語が展開されるので、ドタバタコメディやってる場合じゃない感が凄まじいです。
そして迎えるクライマックス。
生徒会長高見沢みちるは次々と生徒を"英光塾"なる闇の塾に誘い生徒達を廃人に変え続けていたので、耕児くんは塾に単身切込みに向かいます。
しかし、そこに現れた塾長である金星人の超能力で星にされてしまいます。えっどういうこと。
ついでに序盤から登場していた卑屈そうな眼鏡面のクラスメイトも何故か星にされてまい、更に彼に関しては星になったまま爆散する(ラストカットで一応生きていたことが分かります)という劇中最も凄惨な目に遭わされていて笑いました。そこまで悪い事してないのにな。
これは流石に良くないぞってことで、三田村由香が満を持して英光塾にカチコミをかけ、ここに金星人VS超能力少女という超常レベルな対戦カードが成立する事に。
ちなみにゆかちんのライバルっぽくも描写されていたはずの高見沢みちるは、これ以降は全身タイツの謎コス見せびらかしながら状況を観察するポジションに終始していてちょっと残念でした。
自称金星人のおじさんの頑張りよりも超能力少女同士の能力バトルが観たかったです!!
このクライマックスの能力バトルシーンなんですが、本当にサイケデリックすぎて訳分からないんですよね。
映像演出としても意味不明な演出が膨大すぎますし、視覚的な毒味も相当なもので、ある種のドラッグムービーみたいになってるんです。
質や方向性こそだいぶ違いますが、エヴァ旧劇場版『Air/まごころを、君に』のサードインパクトシーンの初見時に覚えた謎の不安感に近いものがありました。伝わるかこれ。”甘き死よ来たれ”が流れる前後辺りの話。
能力バトルの結果、塾は崩壊し新宿の夜空はサイキックオーラで彩られ、そしてゆかちんや耕児くんの日常が、超能力と共に帰ってくる、という形でこの映画は終わるんですが、一件落着感の無さが凄まじい印象を受けました。
それまでもそこそこの速度でどんどん予想外の方向に進んでいたのに、クライマックスで一気にアクセル全開で駆け抜けていってしまったような、そんな置いてけぼり感を覚えます。
■〆
個人評価:★★★☆☆
特にクライマックスの、アッパー系の何かを摂取した後に映画作ったとしか思えないサイケデリックすぎる演出に良くも悪くも圧倒されました。
超能力少女と学園青春コメディとSFとサイケととにかく要素が混在しまくっている映画でした。
アイドル映画の元祖という短い文言ではこの映画の全容を知る事は不可能だと思いました。
現在、以下の配信サービスで視聴できます。
ではまた。