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日本沈没(1973年/日本) ネタバレあり感想 トンデモ設定を徹底的にリアルに真剣に描くと超名作が出来上がる分かりやすい例。

 

藤岡弘のしゃべり方今とあんま変わってなくて草

 

日本沈没2020』とかいう新作を配信しているネットリックスでは何故か観れない人気特撮災害映画。なんで!!

 

日本沈没

日本沈没

日本沈没

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 以下、ネタバレを含む感想記事です。

 

 

ストーリー

近いうち急速に地殻変動が起こる事が判明し、それによって日本列島が海に沈む事もほぼ確となったので、偉い人やら学者やら色んな立場の日本人が国民の生存の為の計画を全力で進める。

 

 

感想

精密な考証と状況設定の元、リアリティたっぷりに描かれる超大規模災害SF映画

その災害規模は誇張無しに日本全土に及び、タイトルに一切の嘘偽りが無い映画です。

 

この映画は終始状況に対処しなければならない側の人々の視点を中心に描かれていくのが特徴だと思います。

樋口真嗣監督の06年版『日本沈没』やネトフリで配信されているアニメ版との最大の違いはここかと思います。

日本沈没 スタンダード・エディション [DVD]

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 極限下で描かれる人間ドラマではるんですが、大災害に立ち向かわなければならない人達の視点で描かれる本作は、次々に悪化する状況や次に何が起こるのかが、理解できるからこその恐ろしさが感じられます。

 

 

 

一夜にして小島が海に沈んだ事件をきっかけに、当所は地球物理学者である田所博士の仮説として日本沈没の可能性が示唆され、次第に状況は現実化していき、やがて大地震や火山の噴火が頻発し始め、日本中が大パニックに陥る過程をじっくりと克明に描かれていきます。

このリアリティの凄まじさは尋常じゃ無いです。

 

日本沈没の可能性を徹底的に検証し対策するD計画が発足し、それに属するメンバー達や総理大臣が、避けられない事が確実視された日本沈没の運命から、なんとか日本人を救うために様々な対策を行うも思う様にいかない上、予測不能な自然災害の脅威がノータイムに次々と襲いかかるようになる中盤以降の、絶望感の高め方と被災シーンの描き方は、フィクションのそれを超えている様にも思います。

 

特に東京大地震のシーンは、地震による被害から大火災、津波と次々に災害が連鎖し、そこに住む人々が生き残る為の手段がどんどん失われていく様を生々しく描きすぎていてるので、かなりショッキングなシーンだと思いました。

 

 

 

国内の特撮映画として、未だ最高峰の評価がされている映画でもあります。

それこそ06年版の監督もしている樋口真嗣監督が、この映画きっかけで特撮界隈に目覚めた的な発言を残しているみたいですし、影響力は計り知れません。

ちなみにこの映画で特技監督を務めている中野昭慶さんは、その後も東宝怪獣映画や多くの特撮映画で活躍なされているかなり凄い方です。その手腕が本作でも存分に発揮されています。

 

個人的には、単にミニチュアセットの精巧さやカメラの使い方の上手さだけでは無く、ジワジワと日本の国土が地殻変動で破壊されていく様を、全体を意識した視点から何度も描く事で、大規模災害の全貌を見せつつ事態の凄まじさを感じられるようにしている技法の上手さに惹かれています。

ド派手に街が破壊されて次々に人間が被害に遭って超アポカリプス!!みたいな系統とは少し違って、そこに人が住んでいる事を意識させながらじっくり状況を描くようなアングルを多用しているので、人間の圧倒的無力感を強調しているようなイメージです。

 

大災害に備える側の人々の視点で物語が描かれる点と、この状況演出が合わさる事で、他に類を見ないレベルの絶望感を演出している映画だと思いました。

 

 

 

ただ、それでいて最後まで絶望的な物語というわけでも無いのが良い所です。

沈没前に外国に逃げる事が出来た日本人たちの、その後の苦難を予期させつつも、決して人々が諦める事無く生きていこうとする様を最後に描いて幕引きにしているので、最終的なイメージはかなりポジティブなところに着地します。

災害映画ってどんな系統だろうと、生きる事や生きようとする力みたいなものが魅力の根幹にあると僕は思っています。

 

個人評価:★★★★☆

子供の頃に観た時は、怪獣の居ない怪獣映画程度に捉えていたんですが、 実体験として災害や緊急事態も経験した今これを観てみると、中々にそのリアリティに驚かされます。

70年代の映画とはいえ、この時期の日本特撮のレベルは本当に高いですし、未だに通用するパワーを持った映画だと思いました。

 

現在、以下の配信サービスで視聴できます。

ではまた。

 
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