ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド(2019/アメリカ) バレあり感想 個人的には少ししこりも残るクライマックスでした。
シャロン・テート殺害事件について概要だけでも知っておくと楽しさは何倍にも膨れ上がる映画。
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』
(Once Upon a Time in Hollywood)
以下、ネタバレを含む感想記事です。
■ストーリー
落ち目の悪役俳優リック・ダルトンと彼の付き人兼スタントマンのクリフ・ブースが、もう一度輝く為に奮闘。
■感想
タランティーノ監督の映画という事もあって、キャラクターの描き方が上手いです。
さり気ない会話や仕草の内から、そのキャラの個性と魅力を引き出す手腕は相変わらず。
この映画はシャロン・テート殺害事件を元ネタにしたフィクション映画です。
カルト集団に自宅を襲撃され、以前の住人だった音楽プロデューサーのテリー・メルチャーと誤認され自宅にいたシャロン他3名と犯行グループに声をかけた1名が殺害されてしまった事件。
凄惨を極めたシャロン・テートの殺害事件を、映画的にエンターテイメント的に改変してクライマックスに持ってきていました。
映画全体を通しての主役はディカプリオ演じるリックとブラピ演じるクリフの二人なのですが、同じくらい重要なポジションとしてマーゴット・ロビー演じるシャロン・テートの存在があります。
シャロンの存在がリックに希望を与え、彼女自身も作中で自分の出演した映画を観てウキウキする様が描かれたりと、誇張気味な言い方ですが幸せの象徴みたいなポジションで描かれていたと思います。
そして映画のクライマックスに訪れるヒッピー達の襲撃、まさしく件の殺害事件をモチーフにした出来事ですが、この作品で襲撃されるのはシャロン宅では無く、その隣に住むリックの自宅でした。
リックとクリフは襲撃者達を徹底的に痛めつけてました。
飼い犬ちゃんに食い殺させたり火炎放射で焼いてみせたりと、過剰防衛甚だしい殺意そのものをもって撃退し、最後は隣人のシャロンとリックが初めて会話を交わし、一緒に飲むシーンで幕を閉じます。
この辺りはいかにもタランティーノ監督の映画だなって感じします。
人の死に様は派手に魅せたがり。
いわばシャロン・テートに捧げたかのような映画とも言えるのかなと思います。
改変自体は凄くタランティーノの愛みたいなのを感じますし、エンターテイメントとしては楽しめました。
ただ同時に実際に起きた事件そのものが取り返しのつかない、非常にやるせない悲しいものだった事をも再認識させられました。
そこに少しシコリが残るというか、完全に突き抜けたエンターテイメント作品というわけでもなさそうな気がします。
■〆
個人評価:★★★☆☆
映画好きに向けた映画なんでしょうね。
でもそういうピンポイントで狙いをつけた映画のわりには、多分もっと多くの層が受け入れて楽しめる作風だと僕個人は思いました。
ブルース・リーの描写なんかに非難の声が上がってるみたいですが、そもそもこれはフィクション映画。タランティーノ監督のブルース・リー像がどうのとかじゃないんじゃねって僕は思うんですよね。
キャラクターとして描き直していたとしても、それでも気に入らねえよって感覚も理解できますけど。
映画を観ているという感覚を楽しむ映画なんだと僕は考えています。
ではまた。
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