闇金ウシジマくん the Final(2016年/日本) バレあり感想 丑島という男の見方が変わる、かもしれない最終作。
最後に丑島達の過去にまつわる話を持ってくるのね。
『闇金ウシジマくん the Final』
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以下、ネタバレを含む感想記事です。
■ストーリー
中学生の頃から丑島と因縁がある鰐戸三兄弟、大人になりきれず丑島リベンジチャレンジを遂行。
■感想
今作は原作における「ヤミ金くん」編をベースにしたストーリーになっています。
これまでとは違い丑島そのものをフォーカスした内容になっています。
これまでの作品では債務者を主軸にしていて、丑島達が介入する事で債務者がどのような末路を辿るのかを見というフォーマットでした。
それ故に丑島自身に関しての掘り下げはほぼありませんでした。
だからこそこのファイナルで丑島自身を主役に持ってきたのだとは思いますが。
とは言っても債務者も登場します。
ファイナルの主軸を担う債務者は竹本。
丑島や柄崎、戌亥と同期の青年で、お人よし過ぎてホームレスになってしまったという、一見すれば丑島と対照的なキャラクターです。
彼は明らかにフィクションの中にしか存在し得ないようなレベルのお人よしで、鰐戸三兄弟の元で低賃金低待遇の奴隷労働に従事して尚、相部屋になった仲間や職場の仲間の為に借金を作りに丑島の元へ何度もやってきます。
丑島達の中学時代と現代の姿を交互に描きながら、二つの時間軸で物語が進んでいきます。
柄崎が典型的な金髪ヤンキーなのホント面白くて好き。
竹本くんは中学生の頃から現代まで一貫して、病的なお人よしで思いやりの塊みたいな人物として描かれています。
対する丑島の中学時代は、口数少なく強者のオーラを放っているのは変わらないんですが、まだ人間味があるように思いました。
もっとも「頭めがけて金属バットをフルスイングできる」異常性はこの当時から既に発揮されていますが。
というか実際にそういうシーンがありますが。
それでも現代の丑島のイメージとは少しズレがあるように描かれている気がします。原作の丑島以上に心情が掴めません。
人に対しての考え方にこれが顕著に表れていて、現代の丑島は殆どの債務者に対して信用している素振りを見せる事はありませんでした。
それは命の次に大切な金を、限界一歩前の人間に貸す仕事をやっている丑島だからこその考え方なんだろうとこれまでは思っていました。
でも作中で竹本は、丑島がかつて中学時代の自分に教えてくれた「人が人を見捨てたら、心の貧しさは無くならない」という言葉を、今も忘れてないはずだと訴えていました。
ファイナルで本当に描きたかった事がここに詰まっているように思います。
最後、鰐戸三兄弟の元で働いていた者達全員の借金を一人肩代わりした竹本は、危険な場所での清掃員、遠からず命を落とす事が確定してしまう場所での清掃員として送り込まれるわけですが、送り出した後の丑島の表情は、無表情の中に明らかに別の感情が読み取れます。このシーンの山田孝之の演技凄すぎ。
一度は柄崎に車を停めろと指示していますし、明らかにこれまでの丑島には見られない葛藤のような物がそこにあるように感じました。
これは単に相手が中学時代の同級生で不思議な関係の友人だった竹本だから、ってわけでも無いんじゃないかと個人的には思います。
丑島も「人は変われる」という竹本の信条を、同じように信じていた気がします。
闇金業者の社長という立場が信条に歯止めをかけてしまっていて、その立場が招いた結果として、竹本に実質死を宣告せざるを得なくなった事に対する葛藤なのかもしれません。
この丑島の変調に対して、明確なアンサーを劇中で用意している訳でも無いのが、良い余韻に繋がって好きです。
中学時代の丑島、柄崎、戌亥、そして犀原などの話や鰐戸三兄弟との決戦の話、弁護士との戦いなど見どころは他にもたくさんあるんですが、やっぱり丑島と竹本の二人の話が一番印象に残ります。
Paet3の出来もかなり良かったと思うんですが、こちらのthe Finalも負けず劣らず良い映画でした。
最後に、今回の事務所。
■〆
個人評価:★★★★☆
ウシジマくんというシリーズの最終作としては申し分ないと思います。
原作漫画の最終回は賛否両論だったんですが、実写シリーズはきっとこういう終わらせ方で正解なんだと個人的には思います。
シリーズはドラマが3シーズン映画が4本と結構な数がありますが、それだけにこの最終作で丑島の人間性が明言されずともはっきり分かるという終わらせ方はかなり好きです。
ではまた。