スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け(2019年/アメリカ) バレあり感想 当たり触りが無いかもしれない。けどこれまでのスターウォーズの最終章として個人的には好印象。
僕は好きですよ今作。
『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』
(STAR WARS:THE RISE OF SKYWALKER)
前作『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』 の感想はコチラ↓↓↓
以下、ネタバレを含む感想記事です。
■ストーリー
パルパティーンのファイナルオーダーで宇宙ヤバい。
■感想
本作公開前、様々な媒体で「スカイウォーカーの夜明けはこれまでのSWサーガ全てを包括したフィナーレとなる必要がある」と答えていたJJエイブラムス。
そこへ同時にEP8『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』からの軌道修正も加わり、
結果として多くの人のイメージするスターウォーズの範疇に収まるような、言ってしまえば無難で当たり障りの無いような最終作が出来上がったんじゃないかと思います。
『最後のジェダイ』で、ライアン・ジョンソンが独自に書き直した脚本とそれが(是非はどうあれ)齎した大幅なズレを修正する為に遠回りをたくさんやっていて、結果として均衡を取り戻しただけで終わってしまったイメージ。更に新しい何かをここに付随させるのは不可能だったのかも。
やるべきこと、描きたいものが膨大すぎたんでしょうね。
僕はそれでもあのJJエイブラムスが、結果はどうあれ物語の締めをしっかり最後までやり遂げた点に謎に感動を覚えました。もう伏線張るだけ張って全部投げる思わせぶりだけの監督だなんて二度と言わない!
LOSTもクローバーフィールドも好きだけどね。
多くの人が公開前に考察、予想していた物がほぼそのままその通り正解として描かれました。
それは「EP9はEP8の後処理に終始しちゃうんじゃないか」という構成に対する不安もそうです。軌道修正が7割近かったイメージです。
それに「レイはパルパティーンの血を引いているんじゃないか」みたいな、こうだったら面白いけどそれを裏切ってほしいというファンの面倒くさい願望に対して、裏切ることなくストレートにただ「こうだったら面白い」だけを提供している感じ。
無難さの正体はきっとこういうところにあるんじゃないかと僕は考えています。
そしてこれが恐らく、今作の評価もまた大きく賛否が分かれそうだなという予感がします。というか賛否分かれていますね。
ここまでを踏まえても尚、僕は今作かなり好きです。
シークエル三作を思い返すと、リスタートの為の新章紹介の意味合いが強かったEP7、逆張りと裏切りに狂いながらひたすら敵に追われるだけだったEP8ときて、今作でようやく新世代のキャラ達の冒険を描いてくれたように思います。
フォースの覚醒にも冒険活劇要素はあります。でもEP7は新たな物語の始まりだけを描いたものでした。
SWの魅力の根幹って結局そこだったんじゃないかと今になって改めて思うんです。
これは哲学とかテーマとかより前の段階の話です。
善と悪の対立の中で繰り広げられる冒険活劇というシンプルな構造。それがようやく描かれたように思います。
ただ、冒険こそしているものの、そこに新鮮さを感じる事はありません。
フォーマットが古くなったとかでは無く、単純な話この作品がこれまでのSWの総括を目指したものだったからなのかなと思います。
僕が今作に感じる物足りなさの正体は、きっとここにあるのかも知れないと思いました。
ようやくレイ、フィン、ポーの三人を中心とした冒険が描かれたのに、それは新たな世界に飛び込む冒険では無くすべて収束させて閉じる為の物語になっているからなんだと思います。冒険するのが遅すぎた感。
今作のストーリーは、ダース・シディアス(パルパティーン)が全ての黒幕だったので彼を止めてシスの息の根もとめちゃえ!という内容です。
レイがパルパティーンの孫である事が明かされた事で『最後のジェダイ』で脱却したはずの血縁の物語に、結局戻ってしまったかのようにも思える今作。
それでも 最終的にレイは血と導かれた運命を否定し、ベンと共にパルパティーンを打ち破ります。
レイアもルークも、レイがパルパティーンの血を引いている事を知った上で彼女に力を貸していました。
ベンも含めこれまで血縁に翻弄されてきたスカイウォーカー家の面々がレイを信じて迎え入れた事で、血やそこに内包されてしまう運命の物語からの脱却を描こうとしているような印象を受けます。
僕はここにシークエル三部作が作られた意味が込められているんじゃないかと思うんです。
スカイウォーカー家の物語でも無く、無名の一般人が覚醒する物語でも無く、シスの血を引く少女が血と運命を自らの意志と仲間との絆で打ち破る物語みたいな捉え方を僕はしています。
レイアやルークがレイを受け入れた事、ベンが暗黒面(というか血縁に起因するダースベイダーへの憧れみたいなものかも)から帰ってきた事、それらがレイをパルパティーンへ立ち向かわせたのかと思います。
最後にレイがスカイウォーカーを名乗るのって、スカイウォーカー家のそんな姿勢を目の当たりにした上での事なのかなと僕は思いました。
スカイウォーカー家の物語だったこれまでのSWから、最後はスカイウォーカー家が指し示した道を歩んだ少女の物語という形で幕を閉じた点は、結構いい落とし方をしたんじゃないかと思うんです。
歴代のジェダイたちがレイに語りかけるのも、そういうところを意識した上での演出な気がします。
意志の継承みたいな、もっと大きな物語として終わらせたような感触。
その是非はともかく、シークエル三部作が作られた理由はもしかしたらここにあるのかなと思いました。
今作、駆け足で締めに向かった結果いろいろと込み入った内容になっていました。
故に多数のツッコミどころが発生しているんですが、SWって別に重厚で高尚なシリーズでも無いと思っているので僕はそれはそれで楽しめました。
シスフェスは流石に笑った。
フォースが宇宙の神秘的な力から実用性の高い魔法のように描かれている点には何も言いません僕は受け入れます。これはもはやEP8を作り直す以外の解決方法が無い。
■〆
個人評価:★★★☆☆
これまでのスターウォーズのフィナーレを飾る一本となるよう意識して作られています。更にそこにEP8の後処理的な諸々の軌道修正も加わり、結果として無難にこれまでのスターウォーズの延長戦をやったような印象を受けました。
それでも僕はEP9は好きです。
スカイウォーカー家の物語から脱却する事で、言ってしまえば宇宙をまたにかけた親子喧嘩と揶揄されていたSWから、もっと大きな領域での継承の物語にシフトさせたような気がするんです。
締めに向かって閉じていくストーリーとは言え、メインキャラ三者が冒険している点も好きです。
ではまた。