パージ(2013年/アメリカ) バレあり感想 奇抜な設定ほぼ活かされない系無法地帯スリラー。
この内容ならパージって設定要らんでしょ。
『パージ』
(THE PURGE)
続編『パージ:アナーキー』の感想はコチラ↓↓↓
以下、ネタバレを含む感想記事です。
■ストーリー
年に一度あらゆる犯罪が合法になる日”パージ”に富裕層の家族が巻き込まれる。
■感想
もしも犯罪が赦される日があったら……みたいな事を考える人は実は結構いると思うんですよね。僕も高校生くらいの頃にそんな感じの妄想してた記憶がありますし、友人ともそんな感じのテーマでくだらない話した事がありました。
そのくらい誰でも思いつくような世界観を出オチかつ大々的にアピールポイントにして作られたであろう映画です。
もっと無法地帯で人々が狂乱する世界が描かれるのかと思ったんですが、実際の内容はだいぶ見覚えのある、よく観るような内容でした。よくあるスリラー映画。
パージの夜を静かに過ごそうとしていた富裕層の家族が、うっかり貧困層の男を匿ってしまった事でパージ中の集団に目を付けられ、家のバリケードを破壊され侵入されるというもの。
アメリカ全土が無法地帯になる様はニュース映像として断片的に語られるのみに留まっていた点が個人的には物足りなく感じます。
結局自宅で猟奇的なマスク集団と対峙するのが主軸になるので、パージはただの導入用の設定になっていたように思いました。
そこで繰り広げられるスリラーに新鮮味は正直ありません。
黒人の貧困層の男性を匿った事で富裕層の家族が狙われる、という流れや、主人公一家含む周りの住人達が「狩り」という言葉を用いている事から、パージの実体はアメリカ国民の攻撃性の解放では無く富裕層が合法的に貧困層をいたぶるというものである事がそれとなく察せます。
そんな貧困層の男性を助けたおかげで、最後に主人公一家は生き残る事が出来ます。
猟奇集団に殺されかけもう限界というところに駆けつけたご近所さん達がマスク集団を一網打尽、からの「お前ら一家に恨みがある」とのたまい始め主人公一家を殺そうとするところを、この貧困層の男性が助け出すという流れ。
各キャラクターの存在理由や筋は通っていますし、パージそのものの本質が何なのかも描かれているのですが、肝心のパージという制度の魅力が楽しめるわけでは無い点は変わらず。
「危険な夜だけどうちは参加せず平和に過ごそう」という主人公一家。ただパージに反対している訳でも無く必要ないから参加しないというスタンス。
ですが巻き込まれて結果的にそれに対処する形でパージする事になり、最後は自分達を襲ったご近所さんを殺さずに終了時間を迎えて解放します。
ルールが無くなれば人間はその野性を解放して徹底的に残虐になる、という人間性に対する捻ねた前提の元に描かれる映画で、主人公一家がそれを否定するという形のオチは個人的には良いと思います。
性善説とかそういう話になってくると思いますが、根底の部分では人間性をポジティブに解釈している点が、これ系の多くの残虐性を描いた映画との相違点かなと思います。
そういう視点で見れば個性的で面白い映画だとも思いました。
■〆
個人評価:★★☆☆☆
どうせならもっとこの設定を活かした世界観やストーリーを堪能したかった、というのが正直な感想です。
スリラー要素もよくあるよく観るようなもので、良くも悪くも普通な印象でした。
続編にドラマ版もあるようなので、そちらではパージが在る世界がどう描かれているのか楽しみです。
この映画は下記の配信サービスで視聴できます。
ではまた。