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ザ・ドア 交差する世界(2009年/ドイツ) ネタバレあり感想 過去再攻略系パラレルワールド映画かと思ってたら後半でフィーバーが始まってしまう映画。

 

印象的に蝶という存在を描く行為には確かなリスペクトを感じる。

 

『ザ・ドア 交差する世界』

(Die Tür)

ザ・ドア 交差する世界(字幕版)

ザ・ドア 交差する世界(字幕版)

予告:https://youtu.be/uuPa1nopqAE

 以下、ネタバレを含む感想記事です。

 

 

ストーリー

トンネルを抜けたら5年前。

 

感想

浮気している間にうっかり愛娘を溺死させてしまった男が何もかも失って浮浪者同然になり5年が経ったある日、偶然見つけた不思議なトンネルを潜ったら5年前の世界が広がっていた、といういかにも無限ループを匂わす導入から始まる映画です。

しかし解釈的にはパラレルワールドという方が近く、厳密にはタイムリープやそれに類するタイプのものでは無さそうでした。

時間の進み方に5年のラグがある別世界へ繋がるトンネルがあるって感じで、タイトルにあるドアの存在感はゼロです。

 

主人公ダヴィッド(マッツ・ミケルセン)はこのトンネルをくぐった事で別世界の娘の溺死を阻止することになりますが、これもそのタイミングに因果が収束しているのではなく偶然です。

後半ではダヴィッドの居た世界から、この5年前の世界に大量に人が流れ込んでいる事が発覚する超展開が待ち受けていました。後半のテンションが凄い映画。

 

 

 

別世界なので当然そこにはもう一人の自分が暮らしています。

ダヴィッドの場合はうっかり自分を刺殺してしまい、なりゆきで入れ替わり過去の世界で生きなおしています。

それが前半の大まかな展開で、過去の自分を反省し家族ファーストで素敵な旦那さんとして生き直すダヴィッドの姿が描かれました。

しかし愛娘のレオニーは父親が別人である事を察し気味悪く感じています。

そして、その光景を観ているだけでレオニー感じているそれと同じような気味の悪さが体感できるような作りになっていると思いました。

 

主人公ダヴィッドの視点で物語は描かれるので、ダヴィッドの後悔やチャンスを手にして変わろうとする姿、成長と反省の物語がそこにある一方で、漂う都合の良さが鼻につく感覚があります。

自分を殺して入れ替わった事が事故とはいえ、それを隠す為に嘘を重ねていくダヴィッドと、家族に真摯に向き合おうとするダヴィッドという2つの相反する姿が同居していて、矛盾しているのに目を瞑ってやり過ごそうとする様が結果的に気持ち悪さに繋がっているような印象です。子供に大人の都合は通用しないわけ。

 

 

 

 

レオニーをどうにか丸め込み、何もかもうまくいきそうになったのもつかの間、親友を殺さざるを得ない状況になり、そこから一気に発覚するご近所さん殆どまるごと異世界転生状態という飛ばし過ぎな展開はセンスの塊としか言えません。面白すぎ。

隣に住んでいる意味深な発言を連発していたおっさんも実は5年後からやってきた男で、このおっさん曰く「5年後からは大勢こちらの世界にやってきている」とのこと。

このおっさんが未来のダヴィッドなんじゃね?とか予想して観ていた僕にとってこのシチュエーションは予想外極まっていて一気にこの映画に惹きこまれました。

前半は本当にありがちな感じの過去改変展開が多かったので、後半で突然顔面にパイ投げつけられた感じ。

 

その後、何も知らないダヴィッドの妻マヤが偶然入れ替わる瞬間を目撃してしまい、そんなマヤ自身も5年後からやってきたマヤに命を狙われ、ダヴィッドは二人のマヤとレオニーを守る為、5年前世界のマヤとレオニーを5年後世界に送り込む事を決断。

それを邪魔しに5年後世界からやってきたご近所さん達がやってきて攻防が繰り広げられるクライマックス。

大勢来ている、とは言っていたもののあれは多すぎです。

5年後からやってきたご近所さん多すぎて笑います。

 

最終的に5年後のダヴィッドとマヤは5年前の世界でも愛娘と過ごす事は出来なくなり、しかしどこか吹っ切れた様にも見える、そんな雰囲気を漂わせつつ終幕。

失ったものを都合よく取り戻そうとしたけどそんなうまい話は無かったよ的な、そういう話としてオチがつく映画だと思いますが、状況的な面白さが先行してメッセージだとかテーマとかがわりと頭に入ってこない雰囲気が、逆に個人的に好きでした。

 

 

個人評価:★★★☆☆

5年前のパラレルワールドで繰り広げられる過去の清算に始まり、気がつけばパラレルワールドを侵略する人々の物語になっている、かなり個性が強い映画だと思います。

パラレルワールドという基幹要素と、それによって生じる諸々のキャラクター達の動向がかなりふわっとしていますがあまり気にならないような作りになっている点もアリかもって思わせてくれるくらいには魅力的な映画に感じます。

面白い映画だと思いました。

 

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  • 発売日: 2020/03/11
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ではまた。