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ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ(2018年/アメリカ) ネタバレあり感想 相変わらず主要キャラが誰一人として笑顔を見せない映画。

 

重量級鬱映画ボーダーラインの続編、だと思っていたらどうやらスピンオフという立ち位置らしい。

 

『ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ』

(Sicario: Day of the Soldado)

ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ(字幕版)

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 予告:

youtu.be

 『ボーダーライン』の感想記事はこちら↓↓↓

以下、ネタバレを含む感想記事です。

 

 

 ストーリー

米国政府が、メキシコの麻薬カルテルを潰したくなったので、軍人のマットと元検事のアレハンドロが汚れ仕事に従事する。

 

 感想

前作では、メキシコの麻薬カルテルに対するアメリカの姿勢、裏で糸を引いて美味しいところだけを啜る為に意図的に不正を働き不幸な人々を作り出すという仕組みを、ピュアなFBI職員ケイトが目の当たりにして脳が破壊されるという流れをゴリゴリに描いたクソ重い雰囲気全開の映画でした。

 

今作でも同様にアメリカ(政府)の裏工作を描いていますが、かなり方向性が変わっています。

今作では、米国内で起きた爆破テロとメキシコ麻薬カルテルを米国政府が結び付け、秘密裏に特殊任務をマット達のチームに依頼するも、後に犯人グループが米国市民であった事が発覚。

うっかり混乱を齎してしまったメキシコ麻薬カルテルと、その作戦の過程で誘拐していたカルテルのボスの娘イザベルと、実行グループにいたアレハンドロの二人が、米国の手で消されそうになるという展開に。

メキシコ麻薬カルテルの関係を不安定にさせたのが、勘違いとはいえアメリカ政府である事を悟らせないための、いわば尻拭いを描く内容になっていました。

 

前作で鍵を握っていた男アレハンドロを今作では主人公に起用して、前作のケイトのように無垢な状態で、麻薬戦争や大人の汚さを目の当たりにする役割を、カルテルのボスの娘であるイザベルが担当する事で、一応のフォーマットとしては前作を踏襲しつつも視点を変えたような形になっていると思います。

 

 

 

 

そして、終盤辺りまで殆ど本筋と関連してこない少年の存在。

彼を中心に、麻薬カルテルとそこに関わりを持つようになる若者の姿を描くストーリーが展開されました。

これはもはや本筋や前作で描かれた内容とは全く別ベクトルの問題を描いていて、終盤でアレハンドロをこの少年が射殺(に失敗)する事で、カルテルの兵士となる、みたいな流れが描かれます。

タイトル的には、この少年の動向がむしろ物語の中心にありそうな感じなのですが、いかんせんアレハンドロ達の物語と絡んでくるタイミングが遅いですし、彼の物語の内容もボーダーライン感があまり無い気がしました。

なおかつ「うっかりメキシコ麻薬カルテルに介入しちゃったアメリカの身勝手で命を狙われるアレハンドロとイザベルの物語」「普通の少年がカルテルに属して非行に走って取り返しがつかなくなる物語」という、共通項が麻薬カルテル意外ほとんどない様な状態なので、終盤で二つの物語が合流した時の繋がった感覚は薄かったです。

 

 

 

アレハンドロを中心に描くスピンオフ、という立ち位置でおそらく作られた映画だと思います。

そして、自分の家族を殺したカルテルのボスの娘であるイザベルとの二人旅を描く事で、前作で見せた復讐の鬼そのもののような「ヤバい人」という印象が多少緩和されたように感じました。

今作のアレハンドロは人間味があります。

スピンオフという事であれば、そういう方向性でキャラクターを掘り下げるのは面白いと思います。

 

 

 

 

個人評価:★★★☆☆

重さは相変わらずですが、今作ではハッピーエンドっぽい方向性にシフトしていますし、内容もアメリカの闇を描くというより、その身勝手さのせいで大変な立場になっちゃった工作員と巻き込まれた少女の二人を中心にした内容になっていて、視聴後の疲労感はあまり無く楽しめると思います。

やっぱり前作が異常だったんだと思います。

 

 

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ではまた。

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