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進撃の巨人 ATTACK ON TITAN(2015年/日本) ネタバレあり感想 改変しすぎだけどそんな悪いと思わなかった。

 

ファンムービー路線では無く、映画フォーマットとして『進撃の巨人という作品それ自体を再構成したような、そんな一作。

 

進撃の巨人 ATTACK ON TITAN

進撃の巨人 ATTACK ON TITAN

 進撃の巨人 ATTACK ON TITAN

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続編の感想もあります↓↓↓ 

www.desnomovieblog.info

以下、本作品及び一部原作漫画のネタバレを含む感想記事です。

 

 

ストーリー

100年ぶりに巨人の襲撃に遭って生活圏を大幅に奪われた人類の逆襲が始まる。

 

 

感想

前評判は嫌と言うほど聞いていたんで死ぬほど身構えて観たんですけど普通に楽しめました。

 

まず真っ先に目に付くキャスト全員日本人起用という謎のチャレンジ精神についてですが、舞台の延長的な感覚もあるんでしょうけどそもそもの世界観的に映画版はたまたま全員日本人だったという大改編補完で僕は納得できました。

キャスト全員日本人だと、原作では本筋の王家関連にわりと絡むミカサが超少数の東洋系である理由という、まぁまぁ大きな要素がつぶれるんですが、それ以上にこの実写版は世界観設定が根幹から大改編されていますし、逆に別物である事がしっかり認識できるので僕はわりとすんなり受け止められました。

 

 

 

 

いや確かに改変具合が常軌を逸しているとは思いました。

エレンが調査兵団を目指す理由、巨人への憎悪のきっかけになる母が捕食されるというイベントは無く代わりにエレンの両親はずっと昔になくなっていて、彼は持たざる者故にハングリー精神が暴走した若者みたいになっていました。

原作で超重要人物である父グリシャの存在感も全くありません。

エレンのモチベーションとか動機はいまいち見えてこない感じはたしかにあります。

ミカサを見殺してしまった(と思い込んでいた)事がエレンの復讐心の根幹なのかと思っていましたが、ミカサ再登場後もエレンは巨人に対してヘイト溜め続けていて、ここはちょっと濁されてる感じも受けました。

 

そんな実写版ミカサは全然エレンに依存してない、どころかエレンと離れ離れになった後訓練兵団を経由せずにひとり強者になり、実写オリジナルキャラクターに寝取られ気味状態とかいう全然脳が追い付かない立ち位置になっていました。

マフラー巻いてもらうシーンもそんなに重要度高くないイベントに変更されてましたし。

ファンがキレるの良く分かる改変ポイントなんですが、僕は逆に原作と真反対のキャラ像を与えられたミカサの新鮮さが気持ち的に勝りました。デレた時の爆発力に備えろ。

 

そもそも世界観的にも実写版は一度文明が崩壊したらしい遥か未来の終末世界という感じになっていますし。

最初、レシプロ航空機の残骸っぽいのが出てきた時は原作のイメージ年代より数百年繰り上げただけなのかと思っていたら、普通にヘリの残骸やら廃墟シティやら出てきますし、なんなら兵団も普通に装甲車に乗って街へ繰り出していました。あれレシプロ機じゃなくて不発弾らしいですね。

これてっきり実写世界のマーレの技術がエルディアに流れてきている的な事かと思ってたんですが、どうやらそうじゃないみたいですね。

 

 

 

 

ストーリーは、ウォールマリアの壁が破壊されてからエレンが巨人の力を発現させるまでを、原作エピソードは下地にしつつかなりオリジナル要素を加えて映像化していた感じです。

これもまた改変ですけど、原作漫画とはまた違ったスピード感がありましたし、エレンが言い寄ってきた女の子からセクハラされて一瞬の青春を楽しむ展開も、映画だからこそのキャラクター像の再設定だと僕は思っています。

 

 

 

 

スピード感で言えば、立体起動装置での戦闘描写はちょっとまだ技術的に追い付いてない感じがしました。

軽快に飛び跳ねながら巨人の首筋刈り取る人達の印象とは少し違った感じです。

ミカサとかオリキャラのおじさんはすっごい飛び回ってるんですが、エレンほか奪還作戦に参加した多くの兵士の立体起動装置での戦闘シーンがあまり描写されず、若干の物足りなさを感じました。

 

逆に巨人全般のシーンは僕は凄く良かったと思います。

巨人化エレンの戦闘シーンのゴリゴリな日本特撮らしい見せ方や戦法、壁を破壊し侵入してきた巨人共の異物感が凄く感じられる気持ち悪い進軍シーン、そして建造物や人を常に対比させるようにして巨人を描くようなアングルの上手さなど、樋口真嗣監督っぽさを感じられるシーンが多い印象です。

タイトルコールとか劇伴ももろに特撮リスペクトな感じですし。

 

ロケーションも独特で、中世ヨーロッパの街並み出てきたとと思ったら鉄筋でしっかり目に作られたであろう廃墟群が出て来たり、文明が一度滅びてから再興したような世界観だからこその面白さはあったと思います。

 

 

 

それらの実写版特有の新要素は、たしかに原作ファンの求める部分とは全く異なっていると思います。

ただ一方で、全員日本人で送る大作特撮映画という視点で見ると、決して駄作とも言い切れないんじゃないかと僕は思いました。

そんなの結局特撮好きな人達だけの間での小さいコミュニティでの評価みたいになってしまうとは思うんですが、無価値では無いですよ。

こういう映画が出てくる事は大事だと思います。

 

個人評価:★★★☆☆

原作漫画のコンセプトからアイデアを発展させ、映画で進撃の巨人を作るならどうするか、みたいな方向性を模索した結果の大改編だと僕は感じました。

圧倒的な存在に対する恐怖と反撃のカタルシスみたいなものが進撃の本質的な魅力だと個人的には感じていたので、そこを余すことなく実写化していたと思うので僕は全然アリでした。

だからこそ、もう一つの魅力であるあの世界の謎や歴史と言った部分が根幹から改変されているこの実写版も受け入れられるのかもしれないです。

あるいは単純に僕が樋口真嗣贔屓だから、その補正が存分に込まれている可能性は否めないです。

 

 

 

現在、以下の配信サービスで視聴できます。

ではまた。

 

 
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