Shall we ダンス?(1995年/日本) ネタバレあり感想 ある意味で暑苦しさも感じられる名作ハートフルダンスコメディドラマ。
近年では、人気番組フリースタイルダンジョンでの呂布カルマ VS R-指定戦にて、R-指定がかました
「フェイク!佐村河内!Shall we!死のダンス!役所こぉーーじッッッ!!」\(湧くオーディエンス)/
というパンチラインで何故かヒップホップフリークたちの間で再認知された事でもおなじみ、90年代日本の名作映画。
監督は周防正行。
以下、ネタバレを含む感想記事です。
■ストーリー
真面目に生きて人並みの幸せも全て手に入れたはずの中年男性杉山正平は、そんな日常生活に物足りなさを感じつつ黙々と日々の仕事をこなしていたが、ある日駅のホームから偶然見かけたダンス教室とその講師に惹かれ、社交ダンスの世界に飛び込む。
■感想
日本国内での空前の社交ダンスブームの火付け役となった映画。
人気バラエティ番組『ウリナリ!!』で企画された芸能人社交ダンス部とかもありましたね。懐かしいです。
よくいる普通の中年男性杉山正平(役所広司)が未知の社交ダンスの世界に飛び込み、やがてダンスの魅力に取りつかれていくという内容。
社交ダンスという相当に非日常感漂う世界と、仕事帰りのダンスレッスンの絶妙な部活感が中々に青春していて、そういう意味ではこれは青春ドラマと言ってしまっても良い気がします。
未知の世界に飛び込む瞬間のあの高揚感と緊張感がとても良く描かれていて、自然と杉山さんの事を応援したくなるような、いたって健全平和な雰囲気の映画です。
中年男性が社交ダンスに目覚め仲間達と共に邁進するストーリーや挑戦・挫折・再起のフォーマットはスポ根で多用される構造です。
この映画はその辺りの雰囲気の作り方が非常に上手くて、気弱な中年男性が一つの趣味に打ち込んで人生をより良くするという部分を推し出す事で、スポ根的な暑苦しさでは無くおっさんの踏ん張り的な暑苦しさをコメディテイストで描き出している感じです。
どっちにしろ意外と暑苦しい映画で僕は好きです。
この映画がブームの火付け役であるがゆえに、劇中では当時の社交ダンスを嗜むおじさんに対する偏見が随所で描かれます。
知人の目が気になり家族にすらダンスをしている事を言い出せない杉山の姿や、5年間もダンスをしていながら誰にも悟られないように生きていた同僚の青木などが見せる、肩身の狭そうな姿には中々共感できるものがあります。
二人が会社でダンスの話をするときは必ずトイレ内だけという徹底した秘匿ぶりが笑えます。
だからこそ、社交ダンスを嗜む仲間達との絆がより強調されるような作りにもなっていて、こういうテイストは日本ならではの面白さと魅せ方が感じられると思いました。
そしてハリウッドリメイク版がまさかの本作ほぼ踏襲路線だった事で、普通の中年男性の社交ダンスへの目覚めというシュールさとピュアさは世界で通用するらしい事が判明することに。
ダンス教室講師の岸川舞(草刈民代)に杉山は目を奪われ、杉山は彼女に近づきたいが為に岸川の経営する社交ダンス教室へ通う事になります。
この不倫展開をチラつかせまくる序盤の導入と、杉山の妻である晶子(原日出子)が夫の行動を不審に思い探偵に調査させるという展開、そして実際には杉山はいつの間にかダンスの魅力に憑りつかれダンスに本気になっていたというすれ違いと人間ドラマで、ゆるくコメディチックに人間ドラマを展開していきます。
この映画でトーンが暗くなるのは、杉山自身が大会でミスをした事で挫折してしまう終盤前の展開のみで、基本的には明るいムードで描かれる映画で、終始自然と笑みが浮かぶような、平和で熱い世界が楽しめました。
ニタニタしながら見るとかそういう気持ち悪い意味じゃ無くて、本当にナチュラルに「良いなぁこういうの」的な感じのアレね。
■〆
個人評価:★★★★☆
新しい事に挑戦して、仲間が出来て、挫折も経験するけど、最後はその世界でもう一度頑張ろうと決める、ものすごくストレートな内容ですが、それが良さに直結している映画でもあると思います。
昼は普通のサラリーマンで夜はダンスに邁進する男というギャップも面白く描かれますし、主要キャラも漫画チックな感じでは無く、こういう人いるよねっていうラインを誇張した感じのキャラ付けが殆どなので、絶妙にエンタメ映画らしさが感じられて好きです。
現在、以下の配信サービスで視聴できます。
ではまた。